シリーズブラック企業にならないための労務管理① なぜブラック企業になってしまうのか?

今回から、ブラック企業にならない労務管理についてお話させていただきます。

 

今回のブログでは、なぜブラック企業になってしまうのか?についてお話ししたいと思います。

 

ブラック企業は、労働者だけでなく経営者も不幸にしてしまいます。

 

ですから、ブラック企業にならない、ブラック企業状態から抜け出す、これは経営を行っていく上で、本当に大切なこととなります。

 

今回のブログでは、ブラック企業になってしまう過程や、ブラック企業にならないため、そして適正な労務管理を実現するためのポイントをお話させていただきます。

 

今回の内容は、今後の経営において必ずや役に立つ内容かと思いますので、是非、最後までお読みいだければと思います。

ブラック企業は 労働者も経営者も不幸になる!

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「ブラック企業」

 

この言葉を聞いてどのようなイメージを持たれますか?

 

全ての方が決して良いイメージを持たないと思います。

 

 

ところで、ブラック企業とは、具体的にはどのような企業のことを指すのでしょうか?

 

ブラック企業は、本当に多種多様で、一言で表現するのは難しいのですが、労務管理の世界では、ブラック企業を、「法律を守らず、劣悪な労働条件で労働者に過重労働を強いる」このような企業と位置付けています。

 

ですから、ブラック企業に勤める労働者というのは、間違いなく不幸です。

 

残念ながら、そのようなブラック企業で働いている労働者は、様々な理由で、他の会社に移ることができず、ブラック企業に勤め続けている状態です。

 

このような状況にある労働者が、多いのが現状です。

 

 

ところで、ブラック企業に勤務する労働者が、幸せではないというのは、間違いないでしょう。

 

では、ブラック企業を経営している経営者は、どうでしょう?

 

幸せでしょうか。

 

不幸でしょうか。

 

私は、ブラック企業と言われる会社を経営している経営者も不幸だと考えます。

 

 

「ブラック企業の経営者は、労働者に過酷な労働をさせて利益を上げているから、幸せとまでは言わないまでも、決して不幸なわけではないのではないか」という風に思われるかもしれません。

 

ところで、経営者というのは、生まれた時から経営者であるわけではありません。

 

どこかの段階で経営者になります。

 

そのパターンとしては、①起業して経営者になる、②自分の会社で出世して経営者になる、③親の会社を継いで経営者になる、このようなケースが考えられるかと思います。

 

いずれにしても、経営者というのは、人生のどこかの段階で経営者になるわけです。

 

 

では、経営者となった時、その時に何を思うのでしょうか。

 

「自分の会社をこれからブラック企業にしよう」と思う経営者は、一人もいないはずです。

 

しかし、残念ながら結果的にブラック企業の状態となってしまった。

 

最初は、自分の会社を良くしよう、従業員に給料をたくさん払って、社会貢献できる会社にしよう、このような希望を持った経営者が、結果的にそうはならなかった。

 

ブラック企業と言われる状態となってしまった、

 

これは、やはり不幸だと思います。

 

 

また、このような考え方もできるのではないでしょうか?

 

ブラック企業というのは、当然、会社の状態としては良い状態ではありません。

 

その状態のまま経営を続けていけば、どこかで経営が破綻してしまう可能性があります。

 

経営者、特に中小零細企業の経営者の場合、会社の債務を経営者個人が保証している場合があります。

 

もし会社が、経営に行き詰まり、破産してしまえば、経営者も全財産を失ってしまいます。

 

ブラック企業の経営者というのは、このようなリスクの上に立っています。

 

「それは身から出た錆(さび)」と言われてしまえば、確かにその通りなのですが、客観的に考えれば、やはりブラック企業を経営している経営者も、私は不幸だと思います。

 

つまり、ブラック企業というのは、そこに勤めている労働者はもちろん、経営者も不幸にしてしまう、このような会社と言えるわけです。

 

となれば、「ブラック企業にならない」「ブラック企業の状態から脱出する」ということは、経営を安定的に継続していく上で、非常に重要なこととなってきます。

 

では、ブラック企業にならないためには、ブラック企業の状態から脱出するためには、何が一番重要でしょうか?

 

ブラック企業にならないためには?

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先程、ブラック企業とは法律を守らない会社と言いました。

 

となれば、一番大切なことは、やはり法律を守ること、法令遵守、コンプライアンスです。これが一番重要なこととなります。

 

ですから、今回のシリーズは、経営者の方にまず知っていただきたい労務管理の知識、必ず押さえておいていただきたいポイントをお伝えしていきたいと思います。

 

 

今回のブログでは、今回のテーマである「なぜブラック企業になってしまうのか」について、少し総論的なことをお話ししたいと思います。

 

ブラック企業にならないために、ブラック企業の状態から脱出するには、法令順守の考えが重要だと言いましたが、その前に、そもそも、なぜブラック企業になってしまうのか?ここを理解することが、非常に重要なポイントとなってくると思います。

 

今回は、なぜブラック企業になってしまうのか?ここについて掘り下げてお話していきたいと思います。

 

ただし、あくまでもこれは私の個人的な考えで、私のこれまでの二十年間の社会保険労務士としての経験からお話しますので、必ずしもこれが全てというわけではありませんのでその点はご了承下さい。

 

 

なぜ企業がブラック企業となってしまうのか?その要因として、私は大きく2つあると考えています。

 

今から、その2つの要因についてお話ししていきたいと思います。

 

経営者の法律に対する意識

最初に、1つ目の要因についてお話ししたいと思いますが、よりご理解いただくためにブラック企業になってしまう過程を先にお話ししたいと思います。

 

先程も言いましたが、ブラック企業というのは多種多様です。

 

これからお話ししていくのは、1つのパターンと思っていただければ結構です。

 

 

前提を1つ設けさせていただきたいと思います。

 

今回は、労働者が起業して会社をスタートする、この前提でお話ししていきたいと思います。

 

そして、その過程の中にブラック企業となってしまう要因がありますので、併せてご説明させていただきます。

 

 

まず、法律の基準点があるとします。

 

会社の労務管理が、その基準点より上の状態の場合には、法律と基準を上回っている労働条件や福利厚生を行っている形となります。

 

しかし、反対に基準点より下の場合には、法律の基準を満たしていない、つまり違法状態となってしまいます。

 

基準点より上にあり、基準点より離れれば離れるほど、良い労務管理の状態となります。

 

しかし、基準点より下にあり、基準点との距離が離れれば離れるほど、労務管理としては好ましくない状態となってしまいます。

 

では、労働者が、起業して経営者になる場合、どの状態で起業するかということですが、私は、法律の基準点より少し下回った段階で会社をスタートさせるケースが多いと思います。

 

もちろん、違法状態ですから好ましくない状態ですし、起業した段階で法律の基準を上回った状態で起業する経営者も少なからずいますが、結果的にこの状態からスタートする経営者が多いと考えます。

 

なぜこの状態からスタートするのか?その理由につきましては、後でご説明したいと思います。

 

 

では、起業した後、どのような道を歩んでいくのか?ついてお話ししてきたいと思います

 

最初に数は少ないのかもしれませんが、法律の基準を上回った状態で、会社をスタートさせた場合についてお話したいと思います。

 

法律の基準を上回った状態で、会社をスタート場合、大体は、その状態が変わらない、つまり横ばいの状態が続いていくと考えらえます。

 

もちろん会社によっては、基準点よりどんどん上の方向に離れている、つまり法律の基準より上回った状態になって行く会社ももちろんあります。

 

しかし、多くの会社は、横ばい状態で進んで行きます。

 

 

では、なぜ横ばい状態となってしまうのか?と言うと、起業当初は、売上を上げて、なんとか会社を安定させることに、経営者は、全神経を集中するかと思います。

 

ですから、労務管理にまでなかなか手が回らないこととなります。

 

その結果、労務管理の状態は、起業した時とあまり変わらない状態が続きます。

 

しかし、起業後、3年から5年位、会社が存続すると、経営は、ある程度安定してきます。

 

この時点で経営者は、何を考えるか?と言いますと、当然、会社をもっと大きくしたい、もっと良い会社にしたい、と考えます。

 

では、そのためには何が必要かと言うと、やはり人材です。

 

優秀な労働者を雇用したい、あるいは今いる労働者にもっと生産性を高めてもらいたい、このようなことを考えるかと思います。

 

 

そのために何が必要かと言うと、やはり労務管理の充実です。

 

労働条件の向上、職場環境の改善や福利厚生の充実が考えられます。

 

ですから、経営者は、この時点で労務管理に力を入れ始めます。

 

元々、法律の基準を上回っている状態ですので、さらに良い状態に向かっていくわけです。

 

労務管理の面から見れば、優良企業となって行きます。

 

このような会社は全く、問題がありません。

 

 

では、次に法律の基準を少し下回っている状態で起業した場合に、どのような道を歩んでいくか、お話したいと思います。

 

このケースも、やはり3年間から5年間位の間は、労務管理の状態は、横ばいとなります。

 

これは先程ご説明したように、起業後一定期間は、経営を安定させるために、経営者は、売上を上げることに精力を集中させるため、どうしても労務管理まで手が回らないためです。

 

 

ただ、問題となるは、起業から3年から5年経過し、ある程度経営が安定した時点で、経営者が、何を考えるかです。

 

経営者の中には、先程ご説明したケースと同じように、「これからは人材が大切だ。だから労務管理に力を入れなければいけない」と考える経営者がいます。

 

そのような場合、労務管理に力を入れれば、労務管理の状態は、法律の基準を下回っている状態から、法律の基準を満たす状態、さらには法律の基準を上回る状態になっていきます。

 

そうなると、会社は、優良企業の状態となっていきます。

 

確かに、起業後一定期間は、違法状態ですが、(もちろん、違法状態は良くないことですが)実はこのようなケースは、個人的にはあまり心配ないと思います。

 

その理由については、後で少しお話ししたいと思います。

 

 

問題となるのは、ある程度経営が安定したにもかかわらず、労務管理に意識が向かない経営者の場合です。

 

このような経営者は、残念ながら一定数存在します。

 

では、そのような会社の場合、どのような道を進んでいくか?考えてみたいと思います。

 

起業後、ある一定期間が経過し、経営がある程度安定しても、経営者は、通常はさらなる売上増大を目指します。

 

その結果、たとえ労務管理に力を入れなくても、会社は、大きくなっていきます。

 

 

会社が、大きくなるということは、それだけ労働者の数も増えます。

 

労働者の数が増えれば、それだけ労務管理は複雑になり、遵守しなければならない法律が増えてきます。

 

例えば、起業した時点では、30代の男性社員数名だったのが、会社が大きくなり、労働者の数が増えれば、女性社員や高齢社員も当然入ってきます。

 

となれば、起業時には全く考える必要がなかった、高齢者に関する法律や女性の権利に関する法律、あるいは出産、育児に関する法律も遵守する必要が出てきます。

 

となると、守るべき事項が増えているのに、経営者が、従来と同じようない意識であれば、起業時は、法律の基準を下回っている程度が少しだったのが、その程度が、どんどん大きくなっていくこととなります。

 

つまり、ブラック企業への闇にどんどん近づいていくこととなります。

 

 

さらに、ここで注意しなければならないのは、例えば、ボールを坂道で転がした場合、加速が付き、転がる速度はどんどん早くなります。

 

労務管理にも同じようなことが言えます。

 

会社が大きくなるということは、それだけ組織や職場環境が複雑になり、問題が起こる可能性がどんどん高くなります。

 

ですから、ブラック企業の闇に近づいていくと、途中でその速度が、急激に早くなり、あっという間に手が付けられない状態になってしまうのです。

 

 

となってくると、ブラック企業になるかならないかの重要なポイントは、起業後3年から5年が経過した時点となります。

 

もし、起業後3年から5年が経過した時点で、労務管理に意識を向けなければ、会社が、ブラック企業化してしまう可能性が非常に高くなってしまうと言えます。

 

つまり、起業後3年から5年、ある程度経営が安定した時点が、ブラック企業になるかならないかの分かれ道と言えます。

 

 

では、ブラック企業になっていく過程について、よりご理解いただくために、今度は別の視点、労働トラブルとの関係についてお話ししていきたいと思います。

 

まず先程、起業時は、法律の基準を少し下回っていたけど、ある程度経営が安定した時点で、労務管理の充実に意識を向けた経営者の場合は、確かに起業後法律違反の状態が続くが、それはあまり心配はいらないとお話しました。

 

 

もちろん、法律違反の状態ですから、本来許されるわけではありませんが、現実問題として、私は、このように考えています。

 

起業時あるいは起業後間もない時期に雇用された労働者というのは、経営者と意識が近いところがあります。

 

「自分達が、頑張らなければ会社がなくなってしまう」というような意識を持つケースが多いかと思います。

 

ですから、反則すれすれの言い方ですが、労働条件が仮に法律の基準に達していなくても、「それは、起業間もないから仕方がない」とある程度まで許容してくれる可能性が高いと言えます。

 

ですから、起業後一定期間、仮に労務管理が法律の基準を下回っていても、労働トラブルが起こる可能性は低いのです。

 

 

そして、その後、労務管理に意識を向ければ、労務管理の状態は、改善されて行きますので、労務管理の状態が改善されれば、労働トラブルの発生率も低くなりますので、結果的に労働トラブルが多発する状態になることなく、経営を続けられると言えます。

 

ですから、起業後一定期間、労務管理において違法状態でも、どこかで経営者の意識が労務管理に向けば、あまり心配する必要はないと考えるわけです。

 

 

では、次に起業後法律の基準を下回っていて、一定期間経過後も経営者が、労務管理に意識を向けないケースを考えてみたいと思います。

 

先程、このような会社は、加速度的にブラック企業の闇に近づいていく、というお話をしました。

 

この部分を少し掘り下げてみたいと思います。

 

一定期間経過後も経営者が、労務管理に意識を向けない会社であっても、起業時あるいは起業後間もない時期に雇用された労働者が、経営者と意識が近いという点は同じです。

 

 

しかし、起業後一定期間経過すれば、通常の労働者、つまり経営者と同じ意識を持っていない労働者を雇用していくこととなります。

 

通常の労働者であれば、当然労働者の権利を普通に意識します。

 

ですから、起業時あるいは起業後間もない時期に雇用された労働者であれば、「仕方がない」と許容された事項でも、通常の労働者ではそうはいかなくなります。

 

つまり、通常の労働者を雇用し始めた時点で、経緯者が労務管理に意識を向けなければ、労働トラブルが起こってしまう可能性が非常に高くなってしまうのです。

 

そして、会社が大きくなれば、雇用する労働者の数も増えて行きます。

 

労働者の数が増えれば、労働者の多様性は、増してきます。

 

例えば、高齢者、妊産婦、未成年者、あるいは雇用した女性労働者が、妊娠出産し育児休業を取得するケースも考えられます。

 

となれば、会社として、遵守しなければならない法律事項が、格段に増えます。

 

遵守しなければいけない法律事項が格段に増えているのに、経営者が労務管理に意識を向けなければ、法律違反の状態がさらに悪化し、労働トラブルが多発していますわけです。

 

法律違反の状態が悪化し、労働トラブルが多発、まさにブラック企業となってしまうわけです。

 

ですから、ブラック企業になってしまう過程というのは、ある時点を境に、加速度的にブラック企業化してしまうこととなります。

 

 

では、ここで経営者が労務管理に意識を向けなかった場合、どのような事態になってしまうのか?1つ事例をご紹介したいと思います。

 

これからご紹介する事例は、数年前に起きた事例で、テレビなどでも報道されましたので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

 

ですから、企業名を挙げても良いのかもしれないのですが、ここでは某大手ファーストフード店とさせていただきます。

 

 

そのファーストフード店は、24時間営業をしていたのですが、人手不足により深夜の営業を続けることができなくなってしまったのです。

 

通常、ファーストフードやコンビニエンスストア等の24時間営業する店舗の場合、学生アルバイトの力に負うところが多いかと思います。

 

しかし、ファーストフード店では、深夜時間帯の学生アルバイトの数が著しく不足してしまったようでした。

 

そのファーストフード店の詳しい実態は、わからないので多少憶測になってしまうところがありますが、労働条件が、劣悪で過重労働を労働者に強いていたようです。

 

 

その例の1つが、報道されていたのですが、深夜時間帯に学生アルバイト1人に店舗を任せていたようです。

 

飲食店舗ですから、当然ある程度の現金が置かれています。

 

ですから、深夜時間帯に従業員が、1人しかいないというのは、労働者の身の安全を考えた場合に、非常に危険な状態です。

 

そのため、退職する労働者が続き、労働者を募集しても集まらず、結果的に人手不足となり、深夜の時間帯の営業を断念せざる得ない結果となってしまいました。

 

 

本来で言えば、もっと早い段階で会社は、労務管理の改善に力を入れるべきでした。

 

しかし、会社としては、売上を伸ばす方を優先して、労務管理の改善に力をいれず、雇用している労働者に無理を強いてしまったわけです。

 

つまり、ブラック企業状態にあったわけです。

 

 

ファーストフード等の飲食店で深夜時間帯に営業できないのは、経営的にみても大きな損失ですし、またこのことがTV等で報道されたため、企業イメージが大きく損なわれてしまいました。

 

ただ、この某ファーストフード店を経営している会社は、大手企業であったために、この難局を何とか乗り越えることができました。

 

 

しかし、これが中小零細企業であったら、倒産の危機に見舞われしまう可能性は決して低くないと思います。

 

そして、もし倒産してしまえば、冒頭にもお話しましたように、経営者は、個人補償しているケースがほとんどですので、経営者も最悪自己破産となってしまいます。

 

このように、労務管理に意識を向けず、ブラック企業化してしまうと、労働者だけでなく経営者も不幸となってしまうわけです。

 

ですから、ブラック企業にならないために、経営者が、労務管理に意識を向ける、これが本当に重要なポイントとなります。

 

法律に接する機会が無いまま経営者に・・・

では、ブラック企業になってしまう要因の2つ目についてお話ししたいと思います。

 

先程、起業する経営者の多くが、法律の基準を下回る状態で起業し、それには理由があると言いました。

 

実はその理由が、ブラック企業になってしまう要因と深く関係しているのです。

 

 

先程お話ししたように、経営者となる過程は、いろいろなケースが考えらえますが、どのようなケースであっても、ほぼ全員が、経営者になる前は、労働者であったはずです。

 

もし、このブログをお読みの貴方様が今現在経営者であれば、労働者の時のことを思い出してみてください。

 

また、今このブログをお読みの貴方様が、会社にお勤めであれば、今の現状を少し考えてみてください。

 

労働者を守る法律を意識したことがありますか?

 

労働者を守る法律の代表的なものとしては、労働基準法があります。

 

労働基準法の中には、割増賃金や有給休暇に関しての法律が定められています。

 

割増賃金や有給休暇に関しての法律は、多くの労働者が、意識されていると思います。

 

 

しかし、労働基準法は、全部で何条あるかご存じですか?

 

実は100条以上あります。

 

それら全てをご存じですか?

 

多分知らないかと思います。

 

でも、知らなくても大丈夫なのです。

 

労働者は、労働基準法を知る義務はありません。

 

もちろん、知らないことによって不利益を被ってしまう場合も考えられますので、知っていた方が良いのはもちろんですが、ただ知らなかったことに対して責任を負うことはありません。

 

つまり、知らなかったことで、何かペナルティが課せられることはありません。

 

 

しかし、経営者となり、一旦労働者を雇った時点で、労働基準法をはじめとした労務管理に関する法律を守る義務、責任が生じます。

 

では、経営者が守るべき、労務管理に関する法律は、どのようなものがあるかと言いますと、代表的なものとして、労働基準法、最低賃金法、労働契約法等がまず挙げられます。

 

さらに、労働者災害補償保険法、健康保険法、雇用保険法、育児介護休業法などもあり膨大な数となります。

 

つまり、経営者は、これら膨大な数の法律を守らなければいけないわけです。

 

法律を守るには、当然、法律の各規定を知っている必要があります。

 

 

しかし、労働者から経営者になった時点で、いきなりこれら全ての法律を知ることは絶対に無理です。

 

もちろん、全ての法律がすぐに必要となるわけではありませんが、最低限知っていなければいけない法律に関しても知らないで経営者になるケースがあります。

 

ですから、多くの場合、起業時には法律の基準を少し下回ってしまう状態となってしまうと私は考えます。

 

 

これは私の持論なのですが、私達は、運転免許を取るときには、道路交通法を学びます。

 

そして学科の試験に合格しなければ、免許は取得できません。

 

なぜそのような制度かと言うと、当然、交通事故を防ぐためです。

 

実際、その効果は大きいと思います。

 

 

ですから、私は、もし経営者になる際に、試験あるいは一定時間の講習のような制度があれば、ブラック企業になってしまう企業の数は、減っていくと思います。

 

しかし、そのような制度はありません。

 

全く法律のことを知らなくても、経営者になれるということとなります。

 

 

となれば、どうすればブラック企業にならないか、重要なポイントは、やはり経営者が、法律に意識を向け、法律を知る、ここが重要になってきます。

 

ですから、経営者は、なるべく法律に接する機会を増やすことが重要な、ポイントと言えます。

 

しかし、実際には、それはなかなか難しいです。

 

ですから、今回このようなブログを通して、少しでも経営者が、労務管理に関する法律の知識を、習得する機会を増やすことができればと思っています。

 

 

いずれにしても、ブラック企業になってしまうその大きな要因は、経営者が、労務管理の重要性に意識を向けない点、そして法律に触れる機会がほとんどない、この2つと言えます。

 

となれば、ブラック企業にならないためには、その逆を考えれば良いこととなります。

 

労務管理の重要性を意識し、そして労務管理に関する法律知識の理解を深め、習得する機会を増やすことが重要なポイントとなりますので、ぜひこの点をご参考になさっていただければと思います。

 

適正な労務管理を実現するためのポイントとは?

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先ほど、ブラック企業にならないためには、経営者が、労務管理に意識を向けること、そして法律知識を学ぶ期間を増やすことが重要だということを話しました。

 

これから起業する、あるいは起業したばかりの経営者であれば、そこを意識していただければ、ブラック企業になる確率というのは、私は大いに減ると思います。

 

しかし、残念ながら、既にブラック企業の状態となってしまっている会社もあるのが現状です。

 

このような状態をこのまま放置しておけば状況というのは悪化します。

 

ですから、既にブラック企業の状態となってしまっている会社でも、労務管理の適正化への努力をしていく必要があります。

 

 

ところで、既にブラック企業の状態となってしまっている会社が、労務管理の適正化を実現する場合に、1つ重要なポイントがあると私は考えています。

 

これからそのポイントについてお話して行きたいと思います。

 

これからお話する内容、既にブラック企業の状態となっている会社だけでなく、起業を考えている経営者にも必ず役に立つ内容ですので、是非引き続きブログの方お読みになっていただければと思います。

 

 

まず、最初に1つお話しておきたいことがあります。

 

労務管理の適正化を実現することは、非常に厳しいものです。

 

厳しいというのは、無理という意味ではありません。

 

覚悟が必要ということです。

 

なぜなら、現状で法律違反状態の会社というのは、違反状態を法律の基準を守る状態に、するのは、大きなコストが必要となるからです。

 

なぜなら、例えば、これまで労働者に適切な割増賃金を払っていなかったり、労働者に有給休暇を取らせていなかったりしていた状態だった場合、もし労働者に適切な割増賃金や有給休暇を取得させるようにしたら、当然人件費が増加します。

 

もちろん、それによって若干売り上げが上がるケースもあるかもしれません。

 

 

しかし、ほとんどの場合、売り上げに変化は見られないでしょう。

 

売り上げが変わらないのに、経費が増えるということは、経営が苦しくなってしまうわけです。

 

しかし、そこで止まってしまえば、会社の労務管理の状態は、さらに悪化してしまいます。

 

つまり、今以上に売り上げを伸ばす努力が必要となります。

 

ですから、覚悟が必要となってくるわけです。

 

今お話したことを前提で、では、適正な労務管理を実現する際のポイントをお話していきたいと思います。

 

 

私は、これまで多くの会社様から労務管理の相談を受けてきました。

 

特に、問題が多い会社さんからの相談も多く、「本当にうちの会社は、トラブルが多く、何とか労務管理を整え、適正化に持っていきたい」というお話を数多く受けてきました。

 

そのような相談を受ける時に、私は、経営者にお伝えすることがあります。

 

経営者は、私のような社会保険労務士に頼めば、明日にでも会社の労務管理が適正化できると思われがちです。

 

しかし、それは無理ことです。

 

長い年月をかけて今の状態になっているものを、直ぐに全てを改善することは不可能と言えます。

 

 

ですから、私は経営者にいきなり100%を目指さないで下さいとお伝えします。

 

もし、現在の状態が、法律基準から見て50%としたら、いきなり100%を目指すのではなく、まず60%の状態にすることを目標とするわけです。

 

 

もちろん、最終的には100%の状態にする必要はありますが、100%の状態にするには、様々な個所を改善する必要があります。

 

例えば、出勤簿や賃金台帳等の帳票類の整備、割増賃金の適正な支払、正しい労働時間の管理、有給休暇の適正化、就業規則や雇用契約書の整備などがあります。

 

これらを、一度に適正化しようとしたら、どうしても無理が生じてしまい、結局その時点で改善がストップしてしまう可能性が非常に高いのです。

 

また、場合にはよっては、改善するために多くの時間を要してしまうものもあります。

 

ですから、まずはできるところから1つ1つ改善していきます。

 

そして、やり続けることです。

 

このやり続ける姿勢が重要なのです。

 

一つ一つの改善は、決して大きくなくても良いのです。

 

それをやり続けることが、本当に大切なことなのです。

 

 

ところで、このような話を社長さんとかにすると、「そうは言っても、もうそんな余裕はないですよ。とにかく一刻も早く会社を正常な状態に戻したいです。」と言われます。

 

確かにそのお気持ちはわかるのですが、実は、いきなり100%を目指すことが、一番の早道ではないのです。

 

むしろ遠回りなのです。

 

 

逆に、いきなり100%を目指さず、まず60%次に70%と少しずつ改善していくことが一番の早道なのです。

 

しかし、このブログの貴方様も何故?と思われるかもしれませんね。

 

イメージしやすいように、富士山の登山を例にお話したいと思います。

 

 

富士山に限らず、山を登る時に、最も距離が少ないのは、直登(一直線に登ることです。)

 

もし、普通の人が、富士山を直登したらどうなるでしょうか?

 

そこそこ登山経験がある人でも、途中でリタイアしてしまうのでしょう?

 

その時に、なんとか直登で登る他の方法、例えば、もっと良い靴を買ったり、もっと足腰を鍛えたりとかを考え、直登にこだわったらどうでしょう?

 

靴を替えるだけでは、直登することは無理でしょう。

 

足腰を鍛えれば、いつか直登できる時がくるかもしれませんが、それまでには膨大な時間がかかります。

 

その間、何度も挑戦しては断念ということを繰り返すこととなるでしょう。

 

つまり、結局時間だけが過ぎていってしまうこととなります。

 

 

もし、富士山に直登しか登る道がなければ、仕方がないのかもしれませんが、富士山には、普通の登山道があります。

 

ご存じのように、通常の登山道は、つづら折りで登っていくこととなります。

 

ですから、直登より距離も長いし、時間もかかります。

 

しかし、直登よりはるかに体力的にも楽ですので、コツコツ登っていけば、いつか必ず山頂に着けます。

 

いくら距離が短く時間がかからないと言っても、山頂までたどり着けなければ、意味がないこととなってしまいます。

 

 

労務管理も同じことが言えます。

 

いきなり100%を目指そうと、いろいろな方法を試して、成功できなければ、違法状態は変わらないままです。

 

しかし、できるところから確実に改善をしていき、その歩みを止めなければ、いつか必ず100%の労務管理適正化を実現することができます。

 

ですから、結果的に60%、70%と少しずつ継続的に改善していくことが一番の早道となるわけです。

 

労務管理の適正化を実現するには、いきなり100%を目指さず、できるところから少しずつ、しかし継続的に改善してことが重要なポイントとなりますので、是非ご参考になさって下さい。

 

まとめ

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今回は、ブラック企業についてお話させていただきました。

 

ブラック企業は、労働者だけでなく経営者も不幸にしてしまいます。

 

ですから、ブラック企業にならない、ブラック企業状態から抜け出す、これは経営を行っていく上で、本当に大切なこととなります。

 

 

今回は、ブラック企業になってしまう過程や、ブラック企業にならないため、そして適正な労務管理を実現するためのポイントをお話させていただきました。

 

どれも、今後の経営において役に立つ内容かと思いますので、是非、今後のご参考になさっていただければと思います。

 

 

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